夫41歳 妻36歳 年収600万円と300万円 FPに7000万円いけると言われたけど大丈夫?

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執筆者

一般社団法人 住宅購入支援協会 代表理事
住宅購入カウンセラー
ファイナンシャルプランナー(FP)
宅建業従事者
小日向 邦夫 が執筆しました。

2026.07.30

「マイホームの購入に向けて住宅展示場を訪れ、FP(ファイナンシャルプランナー)に相談したら『世帯年収900万円なら7000万円の住宅ローンが組めますよ』と言われた」
夢のマイホーム購入に向けて一歩踏み出したとき、専門家からそう言われて安心する一方で、「本当に毎月払い続けていけるのだろうか」と不安になる方は少なくありません。
結論からいえば、「住宅ローンが組める金額」と「家計に無理なく返し続けられる金額」は別物です。
今回は、夫41歳(年収600万円)、妻36歳(年収300万円)のご夫婦を例に、7000万円の住宅ローンを組む場合の負担感と、後悔しない資金計画の考え方を分かりやすく解説します。

7000万円借りた場合の毎月返済額と見落としやすい住居コスト

まずは、数字で確認してみましょう。
仮に7000万円を35年返済、変動金利1.0%で借りた場合、毎月の返済額はおよそ19.8万円です。
この金額だけを見ると、「今の家賃に少し上乗せした程度なら何とかなるかもしれない」と感じる方もいるでしょう。ただし、住宅を購入すると、ローン返済以外にも継続的な住居コストがかかります。
たとえば、固定資産税や都市計画税があります。さらにマンションなら管理費や修繕積立金、戸建てなら将来の外壁や屋根、水回りなどの修繕に備えた積み立ても必要です。
つまり、実際の住居費は「毎月のローン返済額だけ」では終わりません。マンションであれば、ローン約19.8万円に加えて、固定資産税等や管理費・修繕積立金を含めると、毎月の実質的な住居費が23万円台後半から25万円超になることもあります。戸建てでも、税負担に加えて将来修繕の備えを考えれば、想像以上に重たい固定費になりやすいのです。

しかも、変動金利を選ぶ場合は、今の返済額が将来ずっと続くとは限りません。今は払えていても、金利上昇によって負担が増す可能性がある点も見落とせません。

なぜ「今は払えても将来厳しくなる」のか

住宅ローンの検討で陥りやすいのは、現在の収支だけを見て判断してしまうことです。世帯年収900万円でも、7000万円の借り入れには将来の家計を圧迫しやすい要素があります。

1つ目は、教育費の増加です。
子どもがいる、あるいは今後予定している家庭では、成長とともに教育費が重くなっていきます。高校や大学の時期は特に負担が大きくなりやすく、公立か私立か、自宅通学か自宅外通学かによって差も大きくなります。住宅ローンに毎月20万円前後を払いながら、教育費のピークを迎えると、家計の自由度は一気に下がります。

2つ目は、老後資金との両立です。
41歳で35年ローンを組むと、完済時の年齢は76歳です。つまり、65歳の時点でも返済は終わっておらず、
なお11年分の返済が残ります。今回の条件で試算すると、65歳時点のローン残高は約2500万円前後になる見込みです。

退職金で返すという考え方もありますが、退職金を住宅ローンの返済に大きく回してしまうと、その後の生活資金が不足しやすくなります。老後の安心を優先するなら、定年前後の住宅ローン残高は必ず意識しておくべきです。

3つ目は、夫婦合算前提のもろさです。
夫600万円、妻300万円の収入を前提に借りられる額を膨らませると、その返済計画は「夫婦が長期間ほぼ同じペースで働き続けること」が前提になります。しかし、育児、介護、健康上の事情、転職、時短勤務などで収入が変わることは珍しくありません。
特に、片方の収入が減ったときに一気に余裕がなくなるような借り方は、家計にとってリスクが高いといえます。

「借りられる額」ではなく「安全に返せる額」で考える

住宅ローンの審査では、「いくらまで貸せるか」が基準になります。しかし、家計にとって大切なのは、「その金額を借りても生活に無理が出ないか」です。
考えるべきポイントは3つです。
まず、返済額は家計全体の余裕を残せる範囲に抑えることです。一般に、生活防衛資金や教育費、老後資金も並行して準備することを考えると、住宅ローンの返済負担は無理のない水準にとどめる必要があります。
次に、65歳時点でいくら残るのかを事前に確認することです。毎月返せるかどうかだけでなく、定年時点の残高を見て、「繰り上げ返済をするのか」「退職前にどこまで圧縮するのか」まで考えておくことが重要です。
そしてもうひとつは、できるだけ片働きに近い状態でも回る水準を意識することです。夫婦の収入をフルに見込んで上限まで借りるよりも、どちらかの収入が一時的に減っても耐えられる計画のほうが、長い返済期間を安心して乗り切れます。

7000万円は「組める」かもしれないが、「安全」とは言い切れない

世帯年収900万円であれば、金融機関の審査上は7000万円の住宅ローンが通るケースはあります。ですが、それはあくまで「借りられる可能性がある」という話であって、「安心して返し続けられる」という意味ではありません。
今回のように、夫が40代に入ってから35年ローンを組む場合は、教育費の増加、金利変動、老後資金、夫婦の働き方の変化といった複数のリスクが重なりやすくなります。そう考えると、7000万円は組めたとしても、将来の生活に余裕を残しにくい水準とみるのが自然です。

住宅専門ファイナンシャルプランナーの視点

「FPに大丈夫と言われたから安心」と考えるのではなく、「自分たちの家計にとって本当に無理のない金額か」を、教育費や老後、働き方の変化まで含めて見直すことが大切です。
世帯年収900万円、夫41歳・妻36歳という条件では、7000万円の住宅ローンの審査上は可能性があっても、家計に対してはかなり重たい借入額になりやすいといえます。
予算を少し抑えて物件価格を見直す、頭金を増やして借入額を減らす、定年時点の残高を意識した繰り上げ返済計画を立てるなど、選択肢はいくつもあります。住宅ローンは「借りられる額」ではなく、「この先の人生を守りながら返せる額」で決めることが、後悔しないマイホーム購入への近道です。
不安な点やご自身の状況に合わせたシミュレーションについては、中立な立場の住宅に強いFPにご相談ください。納得のいくマイホーム購入を心から応援しております。

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