夫40歳・年収570万円、妻36歳・年収280万円で新築4,500万円を35年フルローン。無理なく返済できる?

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執筆者

一般社団法人 住宅購入支援協会 代表理事
住宅購入カウンセラー
ファイナンシャルプランナー(FP)
宅建業従事者
小日向 邦夫 が執筆しました。

2026.03.25

40代での住宅購入は、教育費や老後資金も視野に入るため、資金計画がより重要になるタイミングです。「この金額のローンを組んでも、最後まで無理なく返済できるのか」と不安になるのは、ごく自然なことです。

世帯年収850万円で4,500万円の新築物件は、今の金利水準だけを見れば検討対象に入りやすい価格帯です。ただし、40歳から35年ローンを組むと、完済時年齢は75歳になります。定年前後の収入変化や、教育費・老後資金との両立まで含めて判断することが大切です。
ここでは、この計画で確認しておきたいポイントを、数字と家計の両面から整理してみます。

1. 返済比率は低めでも、共働き前提の家計になっていないか確認する

まず数字を整理すると、4,500万円を金利年0.5%・35年返済で借りた場合、毎月返済額は約11.7万円、年間返済額は約140万円です。額面の世帯年収850万円に対する返済比率は約16.4%となり、審査上の目安とされる30~35%を大きく下回ります。

ただし、ここでいう返済比率はあくまで「借りられるか」の目安のひとつです。実際に家計が無理なく回るかどうかは、手取り収入や教育費、車関連費、保険料、老後資金の積立なども含めて考える必要があります。審査を通ることと、長期間にわたって安定して返済できることは、必ずしも同じではありません。

また、この返済計画は「夫婦二人の収入が継続すること」に一定程度依存しています。妻の収入を除き、夫の年収570万円のみで見た場合の返済比率は約24.5%です。審査上は直ちに高すぎる水準ではないものの、教育費や物価上昇、車の買い替え、住宅の修繕費などが重なると、家計の余裕は縮みやすくなります。

そのため、「一時的に片働きになっても返済を続けられるか」という視点で考えておくことが大切です。出産や育児、介護、転職などで世帯収入が一時的に減る可能性は珍しくありません。住宅ローンを組む時点で、生活費の見直しや生活防衛資金の確保まで含めて考えておくと、家計の安定感は大きく変わります。

2. 40歳で35年ローンを組むと、定年時点に残債が残る可能性が高い

今回の計画で特に確認したいのは、完済時年齢です。40歳で35年ローンを組むと、完済は75歳になります。多くの金融機関では完済時年齢を80歳未満としているため、審査上は組める可能性が高いですが、家計面では別問題です。定年を65歳とすると、その後も10年間返済が続く計算になるため、退職後の収入や生活費の見通しを事前に立てておく必要があります。

繰り上げ返済をしない前提では、65歳時点の残債はおよそ1,300万〜1,400万円です。したがって、契約前の段階で「定年時点の残債をどう処理するか」を考えておくことが重要です。

方法としては、退職金の一部を充てる、現役時代に計画的に繰り上げ返済する、あるいは別途資産形成を進めるなどが考えられます。ただし、資産形成を返済原資として見込む場合は注意も必要です。たとえばNISAなどを使った投資は、長期的な資産形成には有効な手段になり得ますが、元本保証ではありません。必要な時期に想定どおりの金額を取り崩せない可能性もあるため、預貯金とのバランスを取りながら準備することが大切です。

さらに、変動金利を前提にする場合は、今の返済額だけで判断しないことも重要です。借入時点では返済額に余裕があっても、将来の金利上昇によって家計負担が増える可能性があります。住宅ローンの検討では、現在の金利だけでなく、金利が上がった場合の返済額も試算しておくと安心です。

3. フルローンを選ぶなら、事前に確認しておきたい3つのポイント

フルローンは、頭金を入れずに手元資金を残しやすいというメリットがあります。一方で、借入額が大きくなりやすく、総返済額や将来の金利リスクをそのまま抱えやすい面もあります。フルローンを検討する場合は、少なくとも次の3点を確認しておきたいところです。

まずひとつ目は、住宅ローン以外の住居コストを別枠で管理することです。住宅購入後は、ローン返済以外にも固定資産税、火災保険、設備の修繕・更新費用がかかります。戸建てでは、マンションのような修繕積立金が自動的に徴収されるわけではないため、自分で修繕費を積み立てておく必要があります。固定資産税は物件条件や地域差がありますが、新築一戸建てでは年10万〜15万円程度がひとつの目安です。こうした費用を住宅ローンとは別に管理しておくと、後から家計が苦しくなりにくくなります。

ふたつ目は、団体信用生命保険(団信)の保障内容をきちんと確認することです。40代は健康リスクも意識したい年代です。一般団信に加えて、がん保障や疾病保障付き団信を検討する選択肢もあります。ただし、特約付き団信は金利上乗せや追加コストが発生することがあるため、現在加入している生命保険や就業不能保障との重複も含めて比較し、必要な保障だけを選ぶことが大切です。

そして三つ目は、65歳時点の残債と金融資産を定期的に確認することです。少なくとも年1回は、現在のローン残高、将来の残債見込み、預貯金、投資資産、教育費予定額をまとめて確認し、定年時点でどの程度の残債が残るかを把握しておきましょう。金利上昇や収入変化があった場合にも、返済計画を早めに見直しやすくなります。

まとめ 住宅専門ファイナンシャルプランナーの視点

今回の住宅購入計画は、返済比率だけを見れば直ちに無理な水準ではありません。ただし、実際の家計では「共働き収入への依存度」と「75歳完済という返済期間の長さ」という2つの論点を切り分けて考える必要があります。

40歳からフルローンを検討する場合は、「いくら借りられるか」だけでなく、「65歳時点で残債がいくら残り、同時に金融資産をどれだけ確保できそうか」を逆算して考えることが重要です。

そのためには、現在の生活費、教育費の見込み、貯蓄ペース、退職時点の想定資産を整理し、65歳時点の残債と金融資産を比較できるライフプラン表を作成しておくと安心です。必要に応じて、金利上昇や片働き化も想定した複数パターンでシミュレーションしてみましょう。数字を具体的に確認していくことで、この住宅購入計画が自分たちにとって無理のないものか、よりはっきり判断しやすくなります。
必要であれば住宅専門のファイナンシャルプランナーが力になります。

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